lead・prospect・customer・clientの違い|営業段階と取引関係で使い分ける

営業資料やCRMでは、lead、prospect、customer、clientが「見込み客」「顧客」「取引先」と訳されます。しかし、4語はleadからclientへ順番に進む共通の営業段階ではありません。

leadとprospectは、主に購入前の候補をどう見ているかを表します。customerとclientは、購入した事実や、専門的なサービスを受ける関係に注目した語です。CRMでは製品や会社ごとに段階名が異なるため、辞書の意味と社内の定義を分けて確認する必要があります。

4語をleadからclientまでの一列に並べない

最初に、4語の中心的な違いを並べます。

中心となる意味 相手を見る基準 注意点
lead 顧客や商機につながる候補・情報 接点や手掛かりがあるか 人だけでなく情報や商機も指せる
prospect 将来顧客になる可能性がある相手 購入候補として見ているか leadとの境界は会社によって異なる
customer 商品またはサービスを購入する人・組織 購入したか 商品の購入者だけには限らない
client 専門的な助言やサービスを利用する相手 依頼・助言・サービスの関係があるか customerの意味でも使われる

leadとprospectは意味が重なることがあります。leadを初期段階、prospectを適合確認が進んだ相手とする会社もありますが、この区別はすべてのCRMに共通するものではありません。

customerとclientも、前後に並ぶ二つの段階ではありません。同じ会社が、購入者という点ではcustomer、コンサルティングを受ける相手という点ではclientと呼ばれる場合もあります。どちらが常に正しいかではなく、文中で購入と専門サービスのどちらを示したいかを確認します。

leadは顧客につながる候補、prospectは購入可能性を見る相手

営業上のleadは可算名詞で、発音は「導く」という動詞と同じ/liːd/です。Oxford Advanced Learner's Dictionaryは、役立つ可能性のある人やもの、特に新しい顧客候補や商機というビジネス上の意味を掲載しています。

この意味では、leadは必ずしも購入意思まで確認できた人とは限りません。問い合わせ、紹介、イベントで得た連絡先など、営業活動を始める手掛かりを広く指せます。英語ではsales leadのほか、generate leads、a promising leadのような組み合わせが使えます。

The online seminar generated several new leads.

オンラインセミナーから、見込み客につながる情報を複数得ました。

prospectは、将来顧客や取引先になる可能性がある相手です。辞書の意味だけでは、相手が問い合わせ済みか、予算があるか、決裁権を持つかまでは決まりません。

営業運用の一例として、HubSpot Blogの執筆者は、leadを初期接触の段階、prospectを相手の会社や役職、課題などを調べて自社との適合を確認した段階として分けています。この使い方なら、leadよりprospectの方が購入候補としての確認が進んでいます。ただし、これは一つの営業モデルであり、英語全体の固定された順序ではありません。

We are reviewing the prospect's requirements before preparing a proposal.

提案書を作る前に、その見込み客の要件を確認しています。

接点や情報を得たばかりならlead、購入候補として相手を調べ、営業対象として見ているならprospectが選択肢になります。CRMに正式な段階名がある場合は、その定義を優先します。

customerは購入者、clientは専門的なサービスを受ける相手

customerは、商品またはサービスを購入する人や組織です。「商品を買う人だけ」と限定すると狭すぎます。ソフトウェアの契約者や通信サービスの利用者も、購入者として述べる文脈ではcustomerと呼べます。

The customer renewed the annual software subscription.

その顧客は、ソフトウェアの年間契約を更新しました。

clientは、専門家や専門組織の助言・サービスを利用する相手を表します。弁護士、会計士、コンサルタント、広告会社などが、サービスを依頼した相手をclientと呼ぶ用法が代表的です。

The agency presented three design options to the client.

その広告会社は、依頼主に三つのデザイン案を提示しました。

ただし、customerとclientは、境界を完全に分けられる語ではありません。Merriam-Websterはclientの語義として、専門的な助言やサービスを依頼する人だけでなく、customerの意味も掲載しています。そのため、「商品ならcustomer、サービスならclient」という規則では説明しきれません。

文で示したいこと 選びやすい語
商品・サービスを購入した事実 customer paying customer、existing customer
店舗や一般利用者への対応 customer customer service、customer satisfaction
専門家へ助言や代理を依頼する関係 client a lawyer's client、a consulting firm's client
専門サービスを提供する会社との関係 client corporate client、major client

販売・契約・請求を中心に書くならcustomerが自然です。助言、制作、代理、相談など、提供する専門サービスとの関係を前面に出すならclientが合います。会社で呼び方が決まっている場合は、その表記に合わせます。

prospectは名詞、prospectiveは名詞の前に置く形容詞

prospectとprospectiveは意味が近くても、文中での働きが違います。

  • prospect:名詞。「将来顧客になる可能性がある相手」
  • prospective:形容詞。「将来その立場になると見込まれる」

相手そのものを指すならa prospect、複数ならprospectsです。customerやclientを後ろに置くなら、形容詞のprospectiveを使います。

意味 英文
a prospect 一人・一社の見込み客 We contacted a promising prospect.
prospects 複数の見込み客 The sales team reviewed its list of prospects.
a prospective customer 将来顧客になる可能性がある人・組織 We invited a prospective customer to the demo.
a prospective client 将来依頼主になる可能性がある相手 She met with a prospective client.

prospect customerとはせず、a prospectまたはa prospective customerとします。prospectiveは単独の名詞として使わず、prospective customerやprospective clientのように、何になる可能性があるのかを後ろへ置くと明確です。

HubSpotとDynamics 365では、leadの次がprospectとは限らない

CRMの画面に表示される語は、辞書の語義をそのまま並べたものではありません。製品のデータモデルと、利用する会社の営業手順に合わせて定義されます。

HubSpotの既定ライフサイクルステージは、Subscriber、Lead、Marketing Qualified Lead、Sales Qualified Lead、Opportunity、Customerなどの順です。Prospectは既定の段階名に含まれません。HubSpotは段階を追加・変更できることも説明しています。

Microsoft Dynamics 365 Salesでは、qualified leadからopportunityを作成できます。leadの状態はOpen、Qualified、Disqualifiedで、適格と判断する基準は各社が決めます。

確認先 leadの後に示される段階 prospectの扱い
HubSpotの既定ライフサイクル MQL、SQL、Opportunity、Customer 既定の段階名にはない
Dynamics 365 Sales qualified leadからOpportunity 該当資料の段階名にはない
leadとprospectを分ける営業モデル leadからprospect、さらにopportunity 適合確認後の候補として使う例がある

したがって、英文でprospectが自然でも、自社CRMの選択肢がProspectとは限りません。社内文書では、leadへ登録する条件、qualifiedとする条件、customerへ移す条件を先にそろえます。clientは営業段階ではなく、取引関係を示す呼び方として使われることもあります。

営業メールとCRMでは、相手の状態に合う語を選ぶ

4語を選ぶときは、日本語訳だけでなく、相手について何が分かっているかを確認します。

  1. 連絡先や商機につながる情報を得た段階ならleadを検討する。
  2. 将来の購入者として調査・検討している相手ならprospectを検討する。
  3. 商品またはサービスを購入した相手ならcustomerを検討する。
  4. 専門的な助言やサービスを受ける関係を示すならclientを検討する。
  5. CRMの項目名や社内報告では、自社の定義を優先する。
場面 英文 判断理由
マーケティング報告 The campaign generated new leads. 新しい接点・候補を得たことを示す
商談前の確認 The prospect asked about our security policy. 購入候補として話している相手を示す
契約更新 We sent the renewal notice to the customer. サービスを購入している相手を示す
コンサルティング The client approved the revised proposal. 専門サービスを依頼した相手を示す

leadは営業上の名詞では/liːd/と発音します。「導く」という動詞のleadとの使い分けは、既存記事のlead / guide / escort / usherの違いで確認できます。

参照した資料: