ITパスポートでは、BCP、KPI、SLA、DBMS、IDSなど、経営からセキュリティまで多くの英語略語が使われます。同じ3〜4文字でも、計画、指標、合意、システム、セキュリティ対策では役割が違います。
IPAの現行シラバスVer.6.5に沿って、代表的な略語をストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系に分けました。出題頻度順でも、全略語を収録した完全一覧でもありません。正式名称の最後の英単語と、シラバス上の掲載位置を確認するための一覧です。
現行シラバスは3分野。略語も掲載された場所から確認する
2026年8月22日に確認したITパスポートの現行シラバスはVer.6.5です。出題範囲は次の3分野に整理されています。
| 分野 | 主な範囲 | この記事で扱う代表語 |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 企業と法務、経営戦略、システム戦略 | BCP、BCM、KGI、KPI、CRM、SCM、ERP、RFI、RFP |
| マネジメント系 | 開発技術、プロジェクト、サービス、監査 | WBS、FP、CMMI、SLCP、ITIL、SLA、SLM |
| テクノロジ系 | 基礎理論、コンピュータ、データベース、ネットワーク、セキュリティ | DBMS、SQL、LAN、WAN、VPN、WAF、IDS、IPS |
シラバスは、「用語例」を知識として習得すべき用語・キーワードの例と説明しています。掲載順は頻度の順位ではありません。このページでも、掲載されていることと、よく出ることを同じ意味では扱いません。
正式名称は、共通部分と異なる英単語を分けて読む
略語を展開したら、日本語訳だけで終わらせず、正式名称のどこが違うかを見ます。
| 比較する英単語 | 日本語 | 略語の例 |
|---|---|---|
| Plan / Management | 計画/管理 | BCP / BCM |
| Goal / Performance | 目標/業績 | KGI / KPI |
| Information / Proposal | 情報/提案 | RFI / RFP |
| Agreement / Management | 合意/管理 | SLA / SLM |
| Detection / Prevention | 検知/防止 | IDS / IPS |
Business Continuityのように前半が同じなら、最後のPlanとManagementが違いを示します。Request Forが同じRFIとRFPなら、求めるものがInformationかProposalかを確認します。
現行シラバスは、すべての略語に英語正式名称を併記しているわけではありません。以下の表では、Ver.6.5で正式名称を確認できた語だけを正式名称として掲載し、それ以外はシラバス上の位置を示します。
ストラテジ系は、計画・指標・業務システム・調達で分ける
BCPとBCMは、計画と管理を分ける
| 略語 | シラバス記載の正式名称 | 日本語名 |
|---|---|---|
| BCP | Business Continuity Plan | 事業継続計画 |
| BCM | Business Continuity Management | 事業継続管理 |
両方ともBusiness Continuityですが、BCPの最後は計画を表すPlan、BCMは管理を表すManagementです。現行シラバスでは、どちらもストラテジ系の経営管理に関する用語例として並んでいます。
KGIとKPIは、目標と業績を分ける
| 略語 | シラバス記載の正式名称 | 日本語名 |
|---|---|---|
| KGI | Key Goal Indicator | 重要目標達成指標 |
| KPI | Key Performance Indicator | 重要業績評価指標 |
共通するKeyは重要、Indicatorは指標です。異なるのはGoalとPerformanceなので、日本語名でも目標と業績を分けて確認します。両方とも経営戦略マネジメントの「ビジネス戦略と目標・評価」に掲載されています。
CRM・SCM・ERPは、管理する対象が違う
| 略語 | シラバス記載の正式名称 | 日本語名 |
|---|---|---|
| CRM | Customer Relationship Management | 顧客関係管理 |
| SCM | Supply Chain Management | 供給連鎖管理 |
| ERP | Enterprise Resource Planning | 企業資源計画 |
CRMとSCMは最後がManagementですが、CRMはCustomer Relationship、SCMはSupply Chainを扱います。ERPはEnterprise Resourceに対するPlanningです。三つとも経営管理システムの用語例ですが、正式名称が示す対象は同じではありません。
RFIとRFPは、求める情報と文書が違う
| 略語 | シラバス記載の正式名称 | シラバス上の日本語表記 |
|---|---|---|
| RFI | Request For Information | 情報提供依頼 |
| RFP | Request For Proposal | 提案依頼書 |
現行シラバスの調達手順では、RFI、RFPの作成と配付、提案書・見積書の入手、比較評価、調達先の選定という流れが示されています。RFIはInformation、RFPはProposalを求める語です。
マネジメント系は、作業・プロセス・サービスの対象を分ける
WBS・FP・CMMI・SLCPは、開発やプロジェクトで見る対象が違う
| 略語 | シラバス記載の正式名称 | シラバス上の位置 |
|---|---|---|
| WBS | Work Breakdown Structure | プロジェクトマネジメント |
| FP | Function Point | ソフトウェアの規模と工数の見積り |
| CMMI | Capability Maturity Model Integration | 開発・保守プロセスの評価と改善 |
| SLCP | Software Life Cycle Process | ソフトウェア開発作業を標準化した共通フレーム |
WBSはプロジェクトマネジメント、FPはソフトウェアの規模と工数の見積りに関する用語です。CMMIは開発・保守プロセスの成熟度をモデル化したもの、SLCPはソフトウェアライフサイクルの作業項目を定義した共通フレームとしてシラバスに記載されています。
ITIL・SLA・SLMは、枠組み・合意・管理を分ける
| 略語 | シラバス記載の名称・表記 | シラバス上の説明 |
|---|---|---|
| ITIL | Information Technology Infrastructure Library | サービスマネジメントのフレームワーク |
| SLA | Service Level Agreement | 組織と顧客の間のサービスレベル合意書 |
| SLM | サービスレベル管理 | サービスマネジメントシステムの用語例 |
SLAの最後はAgreementなので合意文書です。SLMは現行シラバスで「サービスレベル管理」と記載されます。どちらもサービスレベルに関する語ですが、合意と管理を分けます。SLOとSLIもSLAと同じ用語例の欄に掲載されていますが、Ver.6.5の該当箇所は英語正式名称を併記していません。
テクノロジ系は、データ・通信・防御の役割で分ける
DBMSとSQLは、管理する仕組みとデータ操作を分ける
DBMSはDatabase Management Systemで、現行シラバスはデータベース管理システムの意義や目的を学習目標にしています。RDBMSは同じ欄の用語例です。
SQLは、関係データベースのデータを操作する方法の項目に掲載されています。シラバスには「SQLの文法は問わない」という条件もあります。DBMSは管理システム、SQLはデータ操作の項目として分けて確認できます。
LAN・WAN・VPNは、ネットワークの分類と接続方法を分ける
現行シラバスは、LANとWANというネットワークの分類を理解することを学習目標にしています。一方、VPNはVirtual Private Networkとして、情報セキュリティ実装技術の用語例に掲載されています。
LAN、WAN、VPNを同じネットワーク略語として一列に置くだけでなく、LAN・WANはネットワークの分類、VPNはセキュリティ実装技術の欄にあることを分けて確認します。
WAF・IDS・IPSは、防御・検知・防止を分ける
| 略語 | シラバス記載の正式名称 | シラバス上の日本語・位置 |
|---|---|---|
| WAF | Web Application Firewall | 情報セキュリティ実装技術 |
| IDS | Intrusion Detection System | 侵入検知システム |
| IPS | Intrusion Prevention System | 侵入防止システム |
IDSとIPSはIntrusionとSystemが共通です。違いは、IDSのDetectionとIPSのPreventionにあります。WAFはWeb Application、IDSとIPSはIntrusionという語を正式名称に含みます。
MFAは現行シラバスでは「多要素認証」。掲載表記を分けて使う
このページの旧版では、MFAをMulti-Factor Authenticationとして表に載せていました。現行シラバスVer.6.5の認証に関する用語例は「多要素認証」と記載しており、今回確認したPDFの抽出テキストではMFAの文字列を確認できませんでした。
資料上の状態は次のように分けます。
| ラベル | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 現行シラバスで正式名称を確認 | Ver.6.5に略語、英語正式名称、日本語名または説明がある | BCP、KPI、RFI、WBS、SLA、DBMS、VPN、IDS |
| 現行シラバスに略語を確認 | Ver.6.5に略語はあるが、該当箇所に英語正式名称の併記がない | API、SQL、UML、LAN、WAN、RDBMS |
| 現行シラバスは日本語表記 | 概念はあるが、今回確認したPDFでは略語表記を確認できない | 多要素認証(MFAの文字列は確認できず) |
略語を確認するときは、次の順で整理できます。
- ストラテジ、マネジメント、テクノロジのどこにあるかを確認する。
- 正式名称が併記されていれば、最後の英単語と日本語名を確認する。
- 似た略語と、管理する対象や役割を比べる。
- IPAの現行シラバスと公式公開問題へ戻って確認する。
公式公開問題は年度別に問題冊子と解答例が公開されています。ただし、1年度分に掲載されたことだけで「頻出」とは判断できません。
参照した公式資料: